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特集 シナプスをめぐるシグナリング 2.トランスポーター
GABAトランスポーターの構造と機能
著者: 茂里康1
所属機関: 1産業技術総合研究所 関西センター
ページ範囲:P.404 - P.405
文献購入ページに移動抑制性神経伝達は大きく分けて,GABA(gamma-aminobutyric acid,γ-アミノ酪酸)作動性,glycine作動性ニューロンに分けることができ,前者は広く中枢神経系に分布しているが,後者は脳幹や脊髄に局在している。
GABAはGABA作動性ニューロンを制御している抑制性神経伝達物質であり,ビタミンB6を補酵素とするglutamic acid decarboxylase(GAD;GAD65,GAD67)により,グルタミン酸を基質とした脱炭酸反応で生合成される。生合成されたGABAは小胞型GABAトランスポーター(vesicular GABA transporter;VGAT)を介してシナプス小胞により蓄積され,刺激により神経終末から放出される。放出されたGABAはイオンチャネル型GABA受容体,GTP結合タンパク質共役型GABA受容体を活性化し,Cl-チャネルの開口,ポストシナプスの内向き整流性のK+チャネルの開口,プレシナプスの膜電位依存性Ca2+チャネルの開口抑制,cAMPの産生阻害などを介して抑制性の神経伝達を行う。抑制性神経伝達機能を果たしたGABAはプレシナプス神経終末,あるいは周辺のアストロサイトの細胞膜上に存在するNa+/Cl-依存性のGABAトランスポーターにより細胞内に取り込まれる。取り込まれたGABAはGABAアミノ基転移酵素(GABA transaminase)とコハク酸セミアルデヒド脱水素酵素(succinic semialdehyde dehydrogenase)によりコハク酸に変換され,TCAサイクルに入る。
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