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文献詳細

雑誌文献

生体の科学61巻5号

2010年10月発行

文献概要

特集 シナプスをめぐるシグナリング 4.Gタンパク

シナプス可塑性におけるRafとRafキナーゼ抑制蛋白の役割

著者: 田中(山本)敬子1 黒田真也1

所属機関: 1東京大学大学院 理学系研究科 生物化学専攻

ページ範囲:P.430 - P.431

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 シナプスにおける神経伝達効率がある種の刺激の後に長期的に増加,減少するシナプス可塑性は,脳内の様々なシナプスで観察され,古くからそのメカニズムに関する研究は積極的に進められてきた。これまでに,抑制剤や遺伝子操作を用いた研究により,それぞれのシナプス可塑性に関与する数多くのシグナル分子が明らかになっている。

 さまざまなシナプス可塑性においてERKの活性が必要であることが知られている一方で,その上流分子であるRafや,Rafの機能を恒常的に抑制するRafキナーゼ抑制蛋白(RKIP)のシナプス可塑性への関与は,あまり検討されていない。しかし現在,単一の分子に着目するだけではなく,シナプス可塑性に関与する分子の相互関係,あるいはこれらの分子やそのシグナルネットワークがどのようにシナプス可塑性の特徴を引き出すのか,といったダイナミックな課題が注目されつつあり,その一例としてRafやRKIPを含むポジティブフィードバック機構の重要性が提唱されてきている。

参考文献

5:1514-1518, 2006(Raf/MEK/ERK)
278:13061-13068, 2003(RKIP, PKC)
116:467-479, 2004(Erk, translation, LTP)
294:C503-C515, 2008(bistability, Erk, late-LTP)
21:5693-5702, 2001(positive feedback, computational model, LTD)
59:608-620, 2008(positive feedback loop, LTD)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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