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文献詳細

雑誌文献

生体の科学61巻5号

2010年10月発行

文献概要

特集 シナプスをめぐるシグナリング 6.セカンドメッセンジャー

アラキドン酸

著者: 魚住尚紀1

所属機関: 1慶應義塾大学 医学部 医化学教室

ページ範囲:P.446 - P.447

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 アラキドン酸(20:4,ω-6)は炭素数20の多価不飽和脂肪酸で,5,8,11,14位の炭素に各々二重結合をもつ。アラキドン酸は様々な生理活性脂質の共通の前駆体として重要である。ヒトは生体内でアラキドン酸を完全合成することができず,食事成分からの摂取,食事由来の炭素数18,ω-6系不飽和脂肪酸(リノール酸,γ-リノレン酸など)からの半合成により充足している。ω-3系不飽和脂肪酸も同様,EPA(20:5;炭素数20,二重結合5),DHA(22:6;炭素数22,二重結合5)は必須脂肪酸α-リノレン酸からの代謝と食事からの摂取が必要である。このようにして摂取,合成された多価不飽和脂肪酸は,細胞内ではリン脂質sn-2位にエステル結合した状態(アラキドニルリン脂質)として過半が存在し,生理的に不活性である。生体はアラキドニルリン脂質から生理活性脂質にいたる代謝経路活性の調節によって,アラキドン酸由来の生理活性脂質量を制御する。アラキドン酸はエイコサノイド(プロスタグランジン:PG,ロイコトリエン:LTなど)の前駆体,エンドカンナビノイド(2-アラキドノイルグリセロール:2-AG,アナンダミド:AEAなど)の構成成分,また,それ自体が酵素やイオンチャネルのアロステリック調節分子として機能する。

参考文献

283:8065-8069, 2008(COX & Endocannabinoid)
59:608-620, 2008(PKC)
29:1943-1950, 2009(Ion Channel)
30:1822-1831, 2010(12-LO)
16:592-597, 2010(Pro-resolution)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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