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特集 シナプスをめぐるシグナリング 6.セカンドメッセンジャー
脂質性二次伝達物質ジアシルグリセロールと代謝酵素DGキナーゼ
著者: 八月朔日泰和1 後藤薫1
所属機関: 1山形大学 医学部 解剖学第二講座
ページ範囲:P.448 - P.450
文献購入ページに移動ジアシルグリセロール(DG)はあらゆる種類の細胞において,様々な構造脂質の合成過程におけるハブ的な中間代謝産物としての位置を占める一方,細胞内情報伝達機構において膜リン脂質の加水分解により産生される二次メッセンジャー分子として名高い。DGはグリセロール骨格のsn-1およびsn-2位に二つの脂肪酸がアシル結合したものであるが,これらの脂肪酸組成についてはあまり注目されていないように思われる。動物細胞における膜リン脂質は通常,炭素数14-22個の脂肪酸からなり,sn-1位には飽和脂肪酸,そしてsn-2位には不飽和脂肪酸を持つものが多い。さらにsn-2位脂肪酸の不飽和度は,1価不飽和脂肪酸であるオレイン酸18:1,4価のアラキドン酸20:4さらに6価のドコサヘキサエン酸22:6まで様々であるが,脳にはとりわけアラキドン酸とドコサヘキサエン酸の多価不飽和脂肪酸が多い。すなわち,通常DGと呼称されるものは,含有脂肪酸の炭素数および不飽和度の組合せにより生じる数十種の異なる分子群の総称であることがわかる。
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