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文献詳細

雑誌文献

生体の科学61巻5号

2010年10月発行

文献概要

特集 シナプスをめぐるシグナリング 7.キナーゼ/ホスファターゼ

シナプスにおけるERKシグナリングの役割

著者: 佐藤泰司1 遠藤昌吾2

所属機関: 1防衛医科大学校 麻酔科 2東京都健康長寿医療センター研究所 老化制御研究チーム

ページ範囲:P.460 - P.461

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ERK経路

 ERK(Extracellular signal-regulated kinase)は細胞外からの刺激を細胞膜を隔てた細胞質や核に伝達するMAPキナーゼサブファミリーの一つであり,古典的MAPキナーゼとも呼ばれる。様々な組織において,ERK経路は細胞増殖や細胞分化誘導に中心的な役割を果たしている。活性化ERKは核に移行し,転写因子などを制御して遺伝子の発現パターンを変化させる。たとえば細胞増殖因子の細胞膜受容体への結合は細胞内ERK経路の活性化を誘導し,活性化ERKにより細胞増殖に必要なG1サイクリンなどの遺伝子転写が開始される。また,活性化ERKは細胞質において様々なタンパク質のリン酸化を介して,多彩な機能を果たしている。ERKの完全な活性化には,アミノ酸1個を隔てたスレオニン(Thr)とチロシン(Tyr)両方のアミノ酸残基がリン酸化されることが必要で,哺乳類では,MEKと呼ばれるMAPキナーゼキナーゼがこれら両アミノ酸のリン酸化を担う(MEKの項462ページ参照)。MEKはRaf(Raf-1,B-Rafなど)と呼ばれるMAPキナーゼキナーゼキナーゼによるリン酸化で活性化される(図)。

参考文献

271:24329-24332, 1996
286:1374-1377, 1999
34:807-820, 2002
27:10765-10776, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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