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文献詳細

雑誌文献

生体の科学61巻5号

2010年10月発行

文献概要

特集 シナプスをめぐるシグナリング 7.キナーゼ/ホスファターゼ

神経系におけるMEK1/2の機能

著者: 佐藤泰司1 遠藤昌吾2

所属機関: 1防衛医科大学校 麻酔科 2東京都健康長寿医療センター研究所 老化制御研究チーム

ページ範囲:P.462 - P.463

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 MEK(MAPK/ERK kinase)1/2はERK1/2のみを基質とするMAPキナーゼキナーゼである。dual specificityキナーゼであるMEK1/2は,ERK1/2のPループ上のThrとTyrの両アミノ酸残基をリン酸化して活性化する。このMEKの特異な性質は,基質ERK1/2が他のキナーゼにより活性化される危険性を回避し,MEK-ERK経路の特異性を高めている。MEK1とMEK2は80%のアミノ酸相同性を持つ。MEK1遺伝子欠損マウスは胎盤の血管形成異常により胎生致死であるが1),MEK2遺伝子欠損マウスには大きな異常は観察されない。そのため,MEK1とMEK2の生理機能が異なる可能性が示唆されている。炭疽菌が産生する毒素(プロテアーゼ)は,MEK1/2のアミノ末端側に位置するERK1/2との結合領域内を切断する。このためMEK1/2とERK1/2との結合が阻害され,MEK1/2-ERK1/2経路が遮断される。炭疽菌は組織の出血性壊死を引き起こし,病巣を炭色に変色させるが,これが炭疽病の病名の由来である。

参考文献

9:369-372, 1999
5:219-224, 2003
28:267-275, 2003
39:309-325, 2003
116:467-479, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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