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特集 シナプスをめぐるシグナリング 8.プロスタグランジン
COX-1/2
著者: 魚住尚紀1
所属機関: 1慶應義塾大学 医学部 医化学教室
ページ範囲:P.480 - P.481
文献購入ページに移動 シクロオキシゲナーゼ(COX)はアラキドン酸を基質として2段階の反応を触媒し,プロスタグランジンH2(PGH2)を産生する酵素で,二つのアイソザイムCOX-1とCOX-2がある。COX-2は炎症などの病理的状態で強く発現誘導される遺伝子として発見され,一般にCOX-1は構成型,COX-2は誘導型と理解される。中枢神経系では海馬や大脳皮質神経細胞で定常的なCOX-2の発現が認められている。PGH2は各種のプロスタグランジン(PG)合成酵素の共通の基質であるから,COXは生体におけるPG産生総量を規定する。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)はCOXを阻害して,疼痛や発熱といった炎症症状を顕著に減弱させることから,PGは炎症メディエーターの一つに分類される。PGの生体における作用は炎症にとどまらない。定常的に産生されるPGは胃粘膜保護,腎機能,血小板凝集の制御,平滑筋への作用など,末梢における生理的機能や恒常性に重要な役割を果たしている。COX-1はこうした定常的PG産生により強く貢献している。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)はCOXを阻害して,疼痛や発熱といった炎症症状を顕著に減弱させることから,PGは炎症メディエーターの一つに分類される。PGの生体における作用は炎症にとどまらない。定常的に産生されるPGは胃粘膜保護,腎機能,血小板凝集の制御,平滑筋への作用など,末梢における生理的機能や恒常性に重要な役割を果たしている。COX-1はこうした定常的PG産生により強く貢献している。
参考文献
1:83-89, 2007(PG, Synaptic Plasticity, Review)
14:1443-51, 2008(COX-2, Synaptic Signaling, Review)
107:3198-3203, 2010(Cellebellar LTD)
119:287-294, 2009(Inflammatory Pain)
37:682-695, 2008(Endocannabionid Metabolism, Synaptic Plasticity)
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