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文献詳細

雑誌文献

生体の科学61巻5号

2010年10月発行

文献概要

特集 シナプスをめぐるシグナリング 9.ニューロペプチド

Angiotensin Ⅱと認知機能

著者: 茂木正樹1 堀内正嗣1

所属機関: 1愛媛大学大学院 医学系研究科 分子心血管生物・薬理学

ページ範囲:P.488 - P.489

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 脳内レニン-アンジオテンシン(RA)系は,中枢性の血圧上昇や飲水行動の誘導などのホルモン様作用だけでなく,組織RA系として神経細胞の分化に直接影響を与えたり,脳血管障害後に炎症・酸化ストレスを惹起して間接的に脳障害を誘導したりするなど,脳神経における臓器障害にも重要な働きを持つことがわかってきた。RA系のコンポーネントであるアンジオテンシノーゲンやレニン,アンジオテンシン変換酵素やアミノペプチダーゼA,Nなどの酵素は全て脳内で合成されることや,AT1,AT2,AT4などの主要な受容体も脳内で局在することが報告されていることから,脳内でRA系の主要な作用物質であるアンジオテンシン(Ang)Ⅱが産生され,循環血液中のAngⅡとは独立して神経系に影響を与えていることが示唆される。超高齢社会に突入した本邦では,高齢者の生活の質の低下を防ぐために認知症に対する対策が急務である。RA系の抑制薬は広く降圧剤として使われており,認知機能への治療にも繋がる可能性がある。認知機能に関連するAngⅡの働きを概説する。

参考文献

438:1-14, 2002(AngⅡ & Cognition)
53:356-362, 2009(AngⅡ-overexpression and Cognition)
48:141-148, 2006(AT2R and Neuronal Differentiation)
19:617-619, 2005(AT2R and Neuron Outgrowth)
21:499-511, 2007(AT2R and MMS2)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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