文献詳細
特集 シナプスをめぐるシグナリング
10.スカフォールドタンパク
文献概要
グアニル酸キナーゼ(GK)ドメインをもつ膜裏打ち蛋白はmembrane-associated guanylate kinase(MAGUK)と総称される。多くのMAGUKではGKドメインはC末端にあるが,N末端にGKドメインをもつinverted typeのMAGUKがヒト3番,7番,1番染色体上にコードされ,MAGUK with inverted orientation(MAGI)1,2,3と呼称されている。MAGI2は断片配列がatrophin-1結合候補分子として報告され,引き続き全長がラット脳の興奮性シナプス裏打ち蛋白SAPAP/GKAPの結合分子として同定され,synaptic scaffolding molecule(S-SCAM)と命名された。マウスではactivin受容体結合分子ARIP1として報告された。MAGI1,MAGI3が広い臓器分布を示すのに対して,S-SCAMはほぼ神経細胞特異的と見られるが,腎臓糸球体スリット膜や腸管上皮に局在するという報告もある。腎臓糸球体スリット膜に関する報告はMAGI1との混同の可能性が除外できない。線虫,ショウジョウバエでは,それぞれ一つのみMAGIがあり,magi-1とMagi/Imaと呼ばれている。線虫のmagi-1には「1」の番号が割り振られているが,後述のように神経細胞にも発現しているので,哺乳動物のMAGI1に特異的に対応しているわけではない。S-SCAMには少なくとも三つのsplicing variants(S-SCAMα,β,γ)がある。
参考文献
273:21105-2110, 1998(Identification of S-SCAM)
27:4388-4405, 2007(KO mouse of S-SCAMα)
4:e4613, 2009(C. elegans)
322:453-456, 2008(JNK signal and Magi)
83:106-111, 2008(Infantile spasm)
掲載誌情報