icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学61巻5号

2010年10月発行

特集 シナプスをめぐるシグナリング

10.スカフォールドタンパク

S-SCAM/MAGI2

著者: 畑裕1

所属機関: 1東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 病態代謝解析学

ページ範囲:P.494 - P.495

文献概要

 グアニル酸キナーゼ(GK)ドメインをもつ膜裏打ち蛋白はmembrane-associated guanylate kinase(MAGUK)と総称される。多くのMAGUKではGKドメインはC末端にあるが,N末端にGKドメインをもつinverted typeのMAGUKがヒト3番,7番,1番染色体上にコードされ,MAGUK with inverted orientation(MAGI)1,2,3と呼称されている。MAGI2は断片配列がatrophin-1結合候補分子として報告され,引き続き全長がラット脳の興奮性シナプス裏打ち蛋白SAPAP/GKAPの結合分子として同定され,synaptic scaffolding molecule(S-SCAM)と命名された。マウスではactivin受容体結合分子ARIP1として報告された。MAGI1,MAGI3が広い臓器分布を示すのに対して,S-SCAMはほぼ神経細胞特異的と見られるが,腎臓糸球体スリット膜や腸管上皮に局在するという報告もある。腎臓糸球体スリット膜に関する報告はMAGI1との混同の可能性が除外できない。線虫,ショウジョウバエでは,それぞれ一つのみMAGIがあり,magi-1とMagi/Imaと呼ばれている。線虫のmagi-1には「1」の番号が割り振られているが,後述のように神経細胞にも発現しているので,哺乳動物のMAGI1に特異的に対応しているわけではない。S-SCAMには少なくとも三つのsplicing variants(S-SCAMα,β,γ)がある。

参考文献

273:21105-2110, 1998(Identification of S-SCAM)
27:4388-4405, 2007(KO mouse of S-SCAMα)
4:e4613, 2009(C. elegans)
322:453-456, 2008(JNK signal and Magi)
83:106-111, 2008(Infantile spasm)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら