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特集 シナプスをめぐるシグナリング 11.細胞骨格タンパク
Actin
著者: 河西春郎1 野口潤1
所属機関: 1東京大学大学院 医学系研究科 構造生理学
ページ範囲:P.506 - P.507
文献購入ページに移動 代表的な細胞骨格蛋白であるactinは,非筋細胞でも総蛋白質の10-15%に及ぶ。Actinモノマー(G-actin,41 kD)は重合してactin繊維(F-actin)を作るが,この繊維は短く固く,細胞の微細形態を作る針金となる。さらに,actin繊維はプラス端で重合を,マイナス端で脱重合を繰り返しており,ラッチ機構により膜を押す力を発生し,この力が細胞運動に使われる。Actinの重合状態を調節するのがactin結合蛋白質である。Actinの機能は,actin繊維やactin結合蛋白質,細胞膜や細胞内器官との複雑な相互作用を通して発現する。こうして,actin自身はどの細胞にもあるが,細胞接着,遊走やシナプス可塑性のように,各細胞に固有の機能を担うことになる。この短い総説では大脳錐体細胞樹状突起の興奮性シナプスの後部であるスパインを例にとり,actin調節の解明がどこまで進んでいるのか解説を試みる。
参考文献
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