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文献詳細

雑誌文献

生体の科学61巻5号

2010年10月発行

文献概要

特集 シナプスをめぐるシグナリング 17.可塑性

SAPファミリー蛋白質

著者: 稲野辺厚1 倉智嘉久1

所属機関: 1大阪大学大学院 医学系研究科 分子・細胞薬理学講座

ページ範囲:P.546 - P.547

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 神経シナプスは神経細胞間の情報伝達の本質的な場である。この細胞間連絡は主に一方向性を示すため,軸索終末(前シナプス)では神経伝達物質の放出に,樹状突起(後シナプス)では神経伝達物質の受容に特化した機能を支える構造を有する。特に興奮性シナプスにおける後者は電子顕微鏡下で,高い電子密度として観察される特異構造(PSD;postsynaptic density)を付帯する。この領域に集積する蛋白質群は一般的にSAP(Synaptic Associated Proteins)ファミリー蛋白質と呼ばれ,特にPSD-95,Dgl-A,ZO-1と呼ばれる膜蛋白質アンカー蛋白質の共通モジュールとして同定されたPDZドメインを有する蛋白質(PDZ蛋白質)が多く含まれる。

 PDZ蛋白質は膜受容体,イオンチャネルを集積させるだけでなく,膜蛋白質のendocytosisによる膜上での機能蛋白質の発現量を調節し,それらの活性を修飾し,そしてシナプスへの機能蛋白質の選択的輸送にも関与する。その結果,記憶,学習などの神経可塑性に深く関与する。この稿では,PDZ蛋白質の分子特性を俯瞰した後に,イオンチャネルの中でも特に内向き整流性K(Kir)チャネルに対するPDZ蛋白質の作用について紹介する。

参考文献

5:771-781, 2004(review)
272:12885-12888, 1997(Kir4.1)
34:387-397, 2002(Kir5.1)
282:C1396-C1403, 2001(Kir2.3)
19:78-83, 2000(Kir3.2)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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