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特集 細胞死か腫瘍化かの選択
細胞の生死に関わるmicroRNA
著者: 赤尾幸博1 直江知樹2
所属機関: 1岐阜大学大学院 連合創薬医療情報研究科 創薬科学 2名古屋大学大学院 医学系研究科 血液・腫瘍内科学
ページ範囲:P.573 - P.578
文献購入ページに移動microRNA(miRNA)はヒトやショウジョウバエのみならず,植物や線虫など広く生物界に存在する。miRNAはゲノムより蛋白をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)と同様,RNAポリメラーゼⅡによって転写される。その後,この一次miRNAは核内のDroshaにより前駆体miRNAとなり細胞質に移送される。その後,DicerといったRNase Ⅲ酵素によりプロセシングを受け成熟型miRNAになり,ついには1本鎖アンチセンスがガイド鎖miRNAとなってRNA-induced silencing complex(RISC)という蛋白複合体と結合し,標的となるmRNAの3’非翻訳領域に相補性をもって結合する(図1)。miRNAは標的となるmRNAの翻訳を抑制し,遺伝子の発現量を調節していることがわかってきた。このRNA干渉効果はmiRNAと標的となるmRNAの相補性の一致率に依存し,相補性が高いほどより強く翻訳を抑制するとされている。
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