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文献詳細

雑誌文献

生体の科学61巻6号

2010年12月発行

特集 細胞死か腫瘍化かの選択

非アポトーシス型細胞死

著者: 辻本賀英1

所属機関: 1大阪大学大学院 医学系研究科 遺伝子学研究室

ページ範囲:P.579 - P.584

文献概要

 細胞死研究は,1990年前後に,アポトーシス抑制因子Bcl-2の発見やアポトーシスシグナルを伝える受容体Fas,線虫のcaspaseであるCed3の発見を契機に,分子レベルでの解析が爆発的に進み,現在成熟期に入りつつある。しかし,いくつかの非アポトーシス型の細胞死機構の存在も報告され始めており,その詳細は未だ不明であるが,解析が進行しつつある。

 がん研究分野に目を移してみると,アポトーシスが「がん研究」分野において重要な課題となって久しいが,この発端はアポトーシス抑制機能を持つBcl-2がん遺伝子の発見である。この発見は,それまで細胞増殖を中心に進んできたがん研究分野に大きなインパクトを与え,発がん過程をアポトーシス抑制という観点から解析することの重要性を提起した。また,アポトーシス(細胞死)はがんの治療の観点からも重要なテーマであり,がん細胞にアポトーシスを誘導する方策が一つの重要ながん治療戦略になっている。しかし,がん治療に利用する細胞死はアポトーシスに限定される必然性はなく,細胞に他の機構が備わっているのであれば,それらを活性化することも重要なアプローチとなるであろう。実際に,効果を示す抗がん剤が,がん組織で主にアポトーシスを誘導しているかどうかは定かでない。

参考文献

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18:1271-1282, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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