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特集 細胞死か腫瘍化かの選択
がん細胞の生死を決めるシアリダーゼとその発現制御への試み
著者: 宮城妙子1
所属機関: 1東北薬科大学 分子生体膜研究所 がん糖鎖制御学
ページ範囲:P.608 - P.613
文献購入ページに移動 糖鎖は核酸,タンパク質に次ぐ第3の鎖として,その情報の持つ重要性が高まっている。糖鎖はDNAの直接的な支配下にある前二者とは異なり,糖転移酵素や糖分解酵素によって作られ,それゆえに,糖鎖が付くタンパク質や脂質分子の多様性や迅速な応答性を生み出している。最近の糖鎖研究の進歩によって,糖鎖が分子・細胞間の認識や品質管理などを介して,細胞機能を決定的に調節している証拠が蓄積してきている。
細胞ががん化すると,この糖鎖に異常が起こる1-3)。主に,細胞表層の糖タンパクや糖脂質の糖鎖に変化が起こる。そのうちでも酸性糖であるシアル酸量の異常は,浸潤や転移などのがんの悪性形質と密接に関連があると従来から指摘されてきた。事実,がん診断によく利用されるシアリルルイスXやシアリルルイスAなど,腫瘍マーカーにはシアル酸を含むものが多い。しかし,どのような機構でシアル酸量異常をもたらすのか,その異常がどのような意味をもつのかなど,いまだ不明の点が多い。
細胞ががん化すると,この糖鎖に異常が起こる1-3)。主に,細胞表層の糖タンパクや糖脂質の糖鎖に変化が起こる。そのうちでも酸性糖であるシアル酸量の異常は,浸潤や転移などのがんの悪性形質と密接に関連があると従来から指摘されてきた。事実,がん診断によく利用されるシアリルルイスXやシアリルルイスAなど,腫瘍マーカーにはシアル酸を含むものが多い。しかし,どのような機構でシアル酸量異常をもたらすのか,その異常がどのような意味をもつのかなど,いまだ不明の点が多い。
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