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文献詳細

雑誌文献

生体の科学61巻6号

2010年12月発行

文献概要

特集 細胞死か腫瘍化かの選択

細胞運命決定に関わるNotchシグナルとその調節機構

著者: 伊藤素行1

所属機関: 1名古屋大学 高等研究院 神経形成シグナル学

ページ範囲:P.624 - P.629

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1 Notchシグナルとは

 Notchシグナル伝達経路は,線虫からヒトに至るまで進化上よく保存された細胞間のシグナル情報伝達経路である1)。また,脊椎動物で多くの組織の発生過程において重要な役割を果たしていることが知られている(表)。

 Notchシグナル情報伝達経路は,隣接する細胞に発現する膜タンパク質リガンド(Delta, Jagged)と受容体(Notch)の結合により開始され,Notch発現細胞へ情報伝達が行われるが,その際,Notchの細胞内領域は切り離され核内へ移行する(図1)。その情報伝達経路は,受容体の膜内タンパク質切断(regulated intramembrane proteolysis:RIP)を介する点で特徴的である。その後,切断された受容体の細胞内ドメイン(NICD)は核内に移行し,DNA結合タンパク質CSL(CBF1/Su(H)/Lag2),活性化補助因子MAM(Mastermind)と複合体を形成,標的遺伝子の転写を活性化することが知られている(図1)。図に示した情報伝達経路は,多くの生物や組織で共通に機能することが知られている。しかしながら,高等生物では,複数リガンド・受容体が存在すること,それらの発現場所・時期・活性が複雑な調節を受けていること,下流標的遺伝子が組織ごとに異なることなどから,Notchシグナルの生理機能は多岐にわたり組織依存性が高いのが特徴である。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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