文献詳細
文献概要
解説
経皮吸収型薬物送達の新展開
著者: 塩塚政孝1 野々村禎昭1 松田良一1
所属機関: 1東京大学大学院 総合文化研究科
ページ範囲:P.636 - P.640
文献購入ページに移動1965年に宇宙飛行士の酔い止めにスコポラミンが用いられ,79年にFDAから承認されて以降,現在までにニトログリセリンや硝酸イソソルビド(狭心症),エストラジオール(更年期障害),ニコチン(禁煙)などを含有したものが薬理効果の持続性を意図して利用されている。しかし,薬物が皮膚から吸収されるためには融点が低く(200℃以下),分子量が小さく(500Da以下),適度に脂溶性を示すというような物理化学的条件を整える必要があった2)。皮膚は本来,生体外からの異物侵入に対する防御の働きがあり,化学物質を容易には透過しないため,単独適用しても充分な薬効が得られないものも多く,経皮吸収型製剤として開発される薬物の選択は厳しい制約を受けてしまう。そこで,薬物の皮膚透過性を改善するために種々の経皮吸収促進法の開発が盛んに行われており,TDDSのもつ多くのメリットが活用されつつある。
参考文献
掲載誌情報