icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学62巻1号

2011年02月発行

特集 摂食制御の分子過程

視床下部におけるAMPキナーゼの摂食・代謝調節作用

著者: 箕越靖彦1

所属機関: 1生理学研究所 発達生理学研究系 生殖・内分泌発達機構研究部門

ページ範囲:P.11 - P.16

文献概要

 AMPキナーゼ(AMP-activated protein kinase;AMPK)は,酵母から植物,哺乳動物に至るほとんどの真核細胞に発現するセリン/スレオニンキナーゼである。AMPKは細胞内エネルギーレベルの低下(AMP/ATP比の上昇)によって活性化し,代謝,イオンチャネル活性,遺伝子発現を変化させてATPレベルを回復させる1)。このことからAMPKは“metabolic sensor”または“fuel gauge”と呼ばれている。また,近年の研究により,AMPKはメトホルミンなどの糖尿病治療薬,運動,レプチンやアディポネクチンなどのホルモン,自律神経によって活性化して,糖・脂質代謝を調節することが明らかとなった1-4)。さらに,視床下部AMPKがレプチン,グルコース,グレリンなどの神経細胞内でのシグナル分子として働き,摂食を調節することが示された1,4-6)

 AMPKは様々なイオンチャネル活性を制御するとともに,遺伝子発現を調節する。従って,これらの機能を介して神経活動を制御し,摂食を調節することが考えられる。しかし,最近の研究によると,AMPKが末梢組織と同様に神経細胞においても脂肪酸代謝を変化させ,これを介して摂食を調節することが明らかとなってきた。すなわち,AMPKは栄養素やホルモン,神経伝達物質から情報を脂肪酸代謝において統合し,摂食行動,代謝を調節すると考えられている(図1)2,4-6)。本稿では,AMPKを介する視床下部でのエネルギー感受機構と,それによって制御される摂食調節作用について概説する。

参考文献

8:774-785, 2007
415:339-343, 2002
423:762-769, 2003
574:77-83, 2006
428:569-574, 2004
24:786-790, 2008
27:4317-4327, 2007
7:377-388, 2007
326:437-440, 2009
458:1056-1060, 2009
329:1201-1205, 2010
105:1711-1721, 2000
107:1962-1965, 2003
53:159-162, 2007
148:1367-1375, 2007
288:2379-2381, 2000
279:3817-3827, 2003
279:19970-19976, 2003
10:727-733, 2004
147:3906-3914, 2006
454:846-851, 2008
280:25196-25201, 2005
6:55-68, 2007
22:1672-1683, 2008
117:2089-2092, 2007
6:17-18, 2004
57:444-450, 2008
16:1001-1008, 2010
9:227-233, 2006
103:7282-7287, 2006
104:17358-17363, 2007
7:389-399, 2008
108:849-863, 2002
312:927-930, 2006
135:61-73, 2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら