icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学62巻1号

2011年02月発行

文献概要

特集 摂食制御の分子過程

メラニン凝集ホルモン-MCH

著者: 長崎弘1 斎藤祐見子2

所属機関: 1名古屋大学大学院 医学系研究科 代謝病態学寄附講座 2広島大学大学院 総合科学研究科 行動科学講座

ページ範囲:P.37 - P.43

文献購入ページに移動
 MCH(melanin-concentrating hormone;MCH)は1983年にサケ脳下垂体から抽出された神経ペプチドである1)。硬骨魚類ではMCHは色素細胞中のメラニン顆粒の凝集を引き起こし,皮膚体色変化を引き起こす。1989年にはラット脳から哺乳類MCHが単離された2)。その受容体は長い間不明であったが,1999年に脳に高発現し,ソマトスタチン受容体と全体で40%のホモロジーを持つオーファンGタンパク質共役型受容体(GPCR)がMCHの受容体であることが報告された3,4)。受容体同定により選択的アンタゴニストの開発が可能となり,現在ではMCH-MCH受容体系は摂食調節・エネルギー代謝機構に深く関わることが明らかになりつつある。さらに,うつ不安,覚醒剤における嗜癖形成,睡眠,体温調節そして末梢においてはアレルギーや炎症との関連も注目されている。本稿では,MCH研究において最も研究が進んでいる摂食とエネルギー代謝調節を中心に,MCHニューロンの入出力系についての知見を交えながら概説する。

参考文献

305:321-323, 1983
125:1660-1665, 1989
400:261-265, 1999
400:265-269, 1999
319:218-245, 1992
27:6948-6955, 2007
435:26-40, 2001
141:4524-4532, 2000
19:1540-1547, 2008
20:2084-2094, 2008
280:8208-8220, 2005
283:1013-1018, 2001
98:7564-7569, 2001
98:7576-7581, 2001
79:785-792, 2002
30:1990-1996, 2009
475:37-47, 2003
380:243-247, 1996
276:13554-13562, 2001
284:E940-E945, 2003
396:670-674, 1998
298:E477-E488, 2010
107:379-386, 2001
100:10085-10090, 2003
99:3240-3245, 2002
143:2469-2477, 2002
438:129-135, 2002
8:825-830, 2002
602:194-202, 2009
106:6772-6777, 2009
23:7143-7154, 2003
143:191-197, 2002
42:635-652, 2004
29:1732-1739, 2008
18:559-572, 1998
402:442-459, 1998
25:2429-2433, 2005
12:545-552, 2010
533:237-252, 2001
28:9101-9110, 2008
284:R494-499, 2003
91:911-919, 2004
155:6-10, 2009
90:1047-1054, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?