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特集 筋ジストロフィーの分子病態から治療へ
特集に寄せて―骨格筋研究の見通し フリーアクセス
著者: 武田伸一1
所属機関: 1国立精神・神経医療研究センター神経研究所
ページ範囲:P.78 - P.78
文献購入ページに移動例えば,骨格筋を構成している最も重要な分子であるミオシンについても,ウイルス感染のレセプターであることが明らかにされるなど,最近はnon-muscle cellでの役割が注目されている。それでは筋研究はどのように現代の生物学に貢献できるのだろうか。その一つは幹細胞の研究分野であり,もう一つは筋疾患に関する治療研究分野であろう。前者の例として非筋細胞への強制発現により筋細胞への変換が可能なMyoD遺伝子の発見はiPS細胞研究の先駆けとなっていた例を挙げることができる。後者の例として,DMDを主たる対象として開発が進められてきたアンチセンス核酸(AO)を用いたエクソンスキップ治療がある。最近,AOはDMDの治療のみでなく,脊髄性筋萎縮症(SMA)に対するexon inclusion治療,筋強直性ジストロフィーに対するprotein displacement therapy,さらには筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対する治療にも応用されようとしている。
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