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文献詳細

雑誌文献

生体の科学62巻2号

2011年04月発行

文献概要

特集 筋ジストロフィーの分子病態から治療へ

ゼブラフィッシュを用いた筋ジストロフィー研究手法

著者: 川原玄理1

所属機関: 1

ページ範囲:P.79 - P.82

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1. モデル動物としてのゼブラフィッシュ

 現在,多くの研究分野において,ゼブラフィッシュ(Danio rerio)が使われるようになってきている。飼育の容易さ,多産であること,世代のサイクルが短いことが遺伝学研究に適していると考えられる。特に,疾患モデルとしてのゼブラフィッシュは,近年めざましい発展を遂げている。主に,心臓,腎臓や血管形成などの突然変異体の作製,そしてその原因遺伝子の特定を目的に用いられ,疾患モデル動物として用いられている。発生初期胚が透明であることから,心臓や筋肉の器官形成の観察,遺伝子発現やタンパク質発現を解析することが比較的容易である。また,初期発生の速度の早さもその利点の一つとして挙げられる。

 今回,主に取り上げる骨格筋組織の発生に関しては,体節形成開始は受精後約10時間後であり,ほとんどの器官原基と同じように24時間後にはその構造は完成され,その形成機序についても発生学的な解析が可能である。他の組織と同様,筋肉組織においてもゼブラフィッシュの器官は形態,機能の面でヒトとよく類似しており,突然変異体の作製とその解析がヒトにおける疾患の原因解明,治療開発に役立つと注目されている。さらに,ゼブラフィッシュの成体が小型であることから,動物の管理が他のモデル動物と比べると難しくなく,その費用が安価であることも広く使われるようになってきている理由である。ここでは,主に筋疾患モデルフィッシュについて,そしてゼブラフィッシュを用いた筋疾患研究において用いられる解析法について述べていく。

参考文献

8:79, 2007
12:265-270, 2003
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18:202-211, 2009
, 2011(in press)
104:7092-7097, 2007
309:180-192, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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