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特集 筋ジストロフィーの分子病態から治療へ
肢帯型筋ジストロフィーの発症機構
著者: 反町洋之1 小野弥子1
所属機関: 1東京都医学総合研究所 カルパインプロジェクト
ページ範囲:P.95 - P.99
文献購入ページに移動 肢帯型筋ジストロフィー(Limb-girdle muscular dystrophy;LGMD)は,主に近位筋に症状が出る筋ジストロフィーで,多くは常染色体劣性遺伝を示す。LGMDの発症率は2万人に1人程度であるが,その中では2A型が最も頻度が高い(30~50%,本邦では2B型と同程度で30%)。現在までに18種類の多様な責任遺伝子と4種の遺伝子座が同定されている(表)。そこにコードされるタンパク質は大別すると四つに分類でき,構造タンパク質,タンパク質分解酵素,糖鎖修飾酵素,イオンチャネルとなる。構造タンパク質には,lamin A/Cのように核膜を裏打ちするもの,sarcoglycanのように筋細胞膜を裏打ちするもの,caveolin-3やdysferlinのように膜機能に関与するもの,そしてmyotilin,T-cap/telethonin,connectin/titinのように筋原線維を構成するものが含まれる。また,タンパク質分解酵素にはCa2+-要求性細胞質システインプロテアーゼであるcalpainとユビキチン(Ub)リガーゼであるTRIM32が含まれる。これらの筋ジストロフィーは,各分子機能が欠損することで病態を発症するということで,さらに臨床的に他の疾患として分類される例もあることを考慮して分子名に“-opathy”を付加して呼ばれることも多い。
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