icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学62巻2号

2011年04月発行

文献概要

特集 筋ジストロフィーの分子病態から治療へ

骨格筋内在性の間葉系前駆細胞

著者: 上住聡芳1 深田宗一朗2 土田邦博1

所属機関: 1藤田保健衛生大学 総合医科学研究所 難病治療学部門 2大阪大学大学院 薬学研究科 細胞生理学分野

ページ範囲:P.157 - P.160

文献購入ページに移動
 ジストロフィン欠損を原因とするDuchenne型筋ジストロフィー(DMD)では,筋再生を上回る筋壊死が進行し,筋組織はやがて脂肪組織によって置換されてしまう。骨格筋に形成された異所性の脂肪組織は筋力低下の要因となるばかりでなく,筋細胞への栄養素供給の妨げとなり病態の進行に寄与し,さらには治療物質(遺伝子治療における導入遺伝子や細胞移植治療における移植細胞など)の筋細胞への到達を妨げ,治療効率を低下させるとも考えられ,解決しなければならない問題である。異所性の脂肪組織がいかにして生じるか不明であったが,筋再生を担う筋衛星細胞の分化異常により発生することが示唆されてきた。しかし,われわれは最近,骨格筋間質に筋衛星細胞とは異なる間葉系前駆細胞を同定し,この細胞が骨格筋内に見られる異所性脂肪組織の起源となることを突き止めた。また,筋ジストロフィーでは骨格筋の線維化も顕著であるが,間葉系前駆細胞が線維化にも寄与することが明らかになってきた。この新たに見出された間葉系前駆細胞の特性と,間葉系前駆細胞を標的とした筋ジストロフィー治療の可能性について紹介する。

参考文献

20(1):50-56, 2009
2)Banker BQ, Engel AG:Basic reactions of muscle. in Myology, Engel AG, Franzini-Armstrong C(ed), pp691-747, McGraw-Hill, New York, 2004
51(1):144-151, 2002
51(4):1022-1027, 2002
71(4):885-892, 2000
88(11):1336-1344, 2008
7)Carpenter S, Karpati G:Cells and structures other than skeletal muscle fibers. in Pathology of skeletal muscle, pp314-369, Oxford, New York, 2001
50(5):897-904, 2002
60(3):324-333, 2005
(Dordr) 31(2):127-142, 2009
14(5):362-366, 2010
5(1):27-31, 1988
49(4):467-472, 2000
285(4):E827-835, 2003
5(2):144-164, 2006
42(1):113-116, 1999
48(8):1600-1606, 1999
119(4):543-554, 2004
122(2):289-301, 2005
456(7221):502-506, 2008
68(4-5):245-253, 2001
129(12):2987-2995, 2002
117(Pt 22):5393-5404, 2004
309(5743):2064-2067, 2005
15(12):2178-2185, 2007
12(2):143-152, 2010
12(2):153-163, 2010
68(7):762-773, 2009
69(8):771-776, 2010
63(6):566-579, 2008
299(5):C939-947, 2010
16(2):303-313, 2009
23(8):2539-2548, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら