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特集 インフラマソーム
エンドトキシンショック関連肝障害におけるTRIF-NLRP3依存的なインフラマソーム形成の重要性
著者: 内山良介1 今村美智子2 筒井ひろ子1
所属機関: 1兵庫医科大学 病原微生物学講座 2兵庫医科大学 外科学講座
ページ範囲:P.213 - P.220
文献購入ページに移動代表的なパターン認識受容体であるTLRは,リガンドを認識すると細胞内シグナル伝達を介して転写因子NF-κBやIRFを活性化し,炎症性サイトカイン(IL-6やTNF-αなど)やⅠ型IFN(IFN-α/βなど)を産生する。これらのサイトカインは産生されると即座に分泌され機能することができる。一方で,IL-1ファミリーに属する炎症性サイトカインIL-18やIL-1βは上記サイトカインと同様に感染防御において重要であるが,その産生機序は上記のものとは異なっている。IL-18やIL-1βは細胞外分泌のためのリーダー配列を欠いており,さらに細胞質内ではサイトカインとして機能しない前駆体として産生・貯蔵される。サイトカインとして機能するためには,この細胞質内の前駆体がシステインプロテアーゼの一種caspase-1により切断される過程が必要である。このcaspase-1は通常,細胞質内で不活性型の状態にあり,その活性化誘導にはインフラマソームというタンパク質複合体が必要である。このインフラマソーム形成には細胞質内に局在するNLRなどのパターン認識受容体が必須である。近年の研究により,これらの受容体が細胞質内のリガンドを認識し複合体形成を誘導する分子機序が明らかにされつつある1-3)(図1)。
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