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連載講座 老化を考える・6
加齢による臓器障害
著者: 加賀美弥生1 丸山直記1
所属機関: 1東京都健康長寿医療センター研究所 老化制御研究チーム 分子老化制御
ページ範囲:P.257 - P.261
文献購入ページに移動 老化が重大な関心事となったのは,生物学的な役割を終えた繁殖期より後の長期生存が多数の人間にとって可能になった結果である。生体を維持するためのシステム,すなわち酸素呼吸による代謝や免疫などは,正しく制御されなければ同時に自身を損なう害をもたらす存在でもある。野生における進化の過程では,集団の維持に必要な繁殖期までは有害性が有益性を超えないよう制御されてきたのであろう。しかし,その繁殖期を過ぎると,加齢に伴い制御が十分に行われないことにより蓄積された有害性が有益性を凌ぐことになる(図1)。このことが加齢による臓器障害の概観である。様々な事柄が加齢に伴う臓器障害に関与しているが,本稿ではこのような観点から,これまでのわれわれの研究を例に,活性酸素や分子修飾の有益性と有害性による臓器障害について解説したい。
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