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特集 小脳研究の課題
霊長類における小脳の進化
著者: 俣野彰三1
所属機関: 1大阪大学
ページ範囲:P.268 - P.273
文献購入ページに移動 生物は自らを取り巻く環境との相互干渉の結果として行動を展開する。この行動は種それぞれに特異的であり,このために長い時間をかけて身体の構造と機能を適応させてきた。
これが生物の表現型における進化であって,小脳の進化もその一つにほかならない。この進化を証拠づけるものは時間軸に沿って発見された化石であるが,脳は化石を残さない。そこで間接的な方法として現生動物で種間比較を行うことになる。ただし行動がいかに類似していても系統が離れていると共通の祖先型をたどれないので,可能な限り近縁種間で比較しないと意味をなさない。ヒトを例にとれば類人猿(apes)と比較することになり,もしも互いに同じ構造を示せば,これはヒト上科(Hominoid)の属性であって,互いに分岐した時点よりさらに遡らなければならない。差異を認められてはじめてヒト科(Hominid)になってから進化したとみなされる。
これが生物の表現型における進化であって,小脳の進化もその一つにほかならない。この進化を証拠づけるものは時間軸に沿って発見された化石であるが,脳は化石を残さない。そこで間接的な方法として現生動物で種間比較を行うことになる。ただし行動がいかに類似していても系統が離れていると共通の祖先型をたどれないので,可能な限り近縁種間で比較しないと意味をなさない。ヒトを例にとれば類人猿(apes)と比較することになり,もしも互いに同じ構造を示せば,これはヒト上科(Hominoid)の属性であって,互いに分岐した時点よりさらに遡らなければならない。差異を認められてはじめてヒト科(Hominid)になってから進化したとみなされる。
参考文献
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