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連載講座 老化を考える・7
老化による視床下部-下垂体-副腎系の機能障害
著者: 溝口和臣1
所属機関: 1株式会社ツムラ ツムラ研究所 育薬2グループ
ページ範囲:P.329 - P.334
文献購入ページに移動 視床下部-下垂体に続く副腎,甲状腺,性腺の系(軸)は古くから内分泌ホルモン分泌調節機構として知られている。老化の影響についてはヒトや動物で血中の甲状腺ホルモン(特にT3)と性ホルモン濃度の低下が起こるため,一般的に老化とホルモンというとこれらのホルモンが連想される。事実,老化による基礎代謝量の低下や性機能の低下はこれらホルモン量の低下と相関する。一方,視床下部-下垂体-副腎系(HPA axis)は代表的なストレス反応系であり,生体がストレスに対処・適応していく際には非常に重要な役割を果たす。動物実験において過度なストレス時にHPA axisが働かないと死に至る場合さえある。また,血中の副腎皮質ホルモン(グルココルチコイド;ヒトではコルチゾール,ラットやマウスではコルチコステロン(CORT))の基礎濃度は老化の影響をあまり受けないとされているが,ストレス負荷後の一過性の血中グルココルチコイド濃度の上昇は高齢者や老齢動物においてより長時間持続する1,2)。よって,HPA axisも老化の影響を少なからず受ける。
本稿では,われわれの基礎研究データを織り交ぜながら,老化がHPA axisに及ぼす影響と脳機能との関連を概説し,最後に薬物として漢方薬を取り上げてみたい。
本稿では,われわれの基礎研究データを織り交ぜながら,老化がHPA axisに及ぼす影響と脳機能との関連を概説し,最後に薬物として漢方薬を取り上げてみたい。
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