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神経幹細胞の分化制御機構
著者: 野口浩史1 田中友規1 中島欽一1
所属機関: 1奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科 分子神経分化制御研究室
ページ範囲:P.335 - P.344
文献購入ページに移動このような段階的な分化能の獲得や各細胞種への分化は,サイトカインや増殖因子などの細胞外因子に加え,エピジェネティックな細胞内在性プログラムにより,時空間的に厳密な制御を受けていることが明らかになりつつある(図1)。エピジェネティクスとは「DNA塩基配列の変化を伴わずに子孫や娘細胞に伝達されるその遺伝子機能の変化」と定義され,DNAのメチル化やヒストンの化学修飾(アセチル化,メチル化,リン酸化など)に伴うクロマチンの構造変換によって遺伝子発現を制御する機構である。エピジェネティックな遺伝子発現制御機構と分化は密接にかかわっており,各細胞種特異的なクロマチン修飾パターンが形成されることにより,それぞれの細胞に特徴的な遺伝子発現を可能にしている。本稿では現在までに明らかとなっている神経幹細胞の分化制御にまつわる細胞外因子や,エピジェネティクス機構の代表的なものについて概説したい。
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