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文献詳細

雑誌文献

生体の科学62巻5号

2011年10月発行

文献概要

特集 細胞核―構造と機能 2.核膜孔複合体

Importin αの多様性と生理的機能

著者: 盛山哲嗣1 米田悦啓1

所属機関: 1大阪大学大学院 生命機能研究科 細胞ネットワークグループ

ページ範囲:P.394 - P.395

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 真核細胞ではゲノムDNAが核を覆う核膜により隔てられている。そのため,核膜上にある核膜孔を介した核-細胞質間分子輸送は,様々な生命現象にとって重要な役割を担っている。

 核-細胞質間分子輸送のなかで,代表例としてimportin αとimportin β1によるタンパク質の核内輸送がある。転写因子や複製因子など核で働くタンパク質の多くは,その分子内に核へ移行するための塩基性アミノ酸に富んだ配列「核移行シグナル(nuclear localization signal;NLS)」を持っている。その配列を受容体であるimportin αが認識する。そして核膜孔複合体と親和性のある輸送担体importin β1と三者複合体を形成し,エネルギー依存的に核へと選別輸送される。その後,核内ではRanと呼ばれる主として核内に局在を示す低分子量GTPaseがimportin β1に結合して三者複合体から輸送基質の解離を促し,importin αとimportin β1はそれぞれ細胞質へとリサイクルされる。

参考文献

9:72-79, 2007
278:1561-1572, 2011
6:e18310, 2011
285:33113-33122, 2010
2:156, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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