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特集 細胞核―構造と機能 2.核膜孔複合体
インポーティンβ依存的輸送経路
著者: 吉村成弘1 竹安邦夫1
所属機関: 1京都大学大学院 生命科学研究科 分子情報解析学分野
ページ範囲:P.396 - P.397
文献購入ページに移動運搬するタンパク質や他のタンパク質に対するアフィニティーは各インポーティンのサブタイプ間で大きく異なり,輸送の特異性を決定している(表)。一方で,RanGTPはほぼすべてのKaryopherinファミリータンパク質と高いアフィニティーで結合する。インポーティンβがRanGTPに結合すると,輸送タンパク質へのアフィニティーが低下することが知られており,逆にエクスポーティンはRanGTPに結合すると輸送タンパク質へのアフィニティーが高くなる。この違いにより,輸送方向が決定されていると考えられている。RanGTPの結合がKaryopherin自体の方向性にどのような影響を与えるかは,まだ明確な結論が得られていない。Karyopherinファミリータンパク質はフェニルセファロースのような疎水性カラムに強く結合する2)ことからも,強い疎水性タンパク質であると考えられる。このため,pull-downや免疫沈降などの実験を行うと,実に多くのタンパク質が結合する。しかし,これらの相互作用が実際に細胞内で起こるのか,また生理学的な重要性を伴うかどうかに関しては慎重な検討が必要である。
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