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特集 細胞核―構造と機能 3.核骨格
核マトリックスとゲノムダイナミクス
著者: 奥村克純1
所属機関: 1三重大学大学院 生物資源学研究科 生命機能科学講座
ページ範囲:P.400 - P.401
文献購入ページに移動 長大な真核細胞ゲノムは小さな核内に収納され,コンパクトなクロマチンとして存在するが,発生段階や種々の細胞間で転写や複製,修復などの過程が異なる制御を受けるべくダイナミックな高次の構造をとっている。さらに,細胞の核内における様々なイベントが効率的に,また,精密かつ巧妙に制御されるために,核の内部構造が密接に関与していると考えられている。核マトリックスはこのような核内イベントにかかわる諸因子の足場として機能すると考えられている。ここではまず,これまでに蓄積されてきた基盤的データに基づき,核内イベントのダイナミクスへの核マトリックスの関与について述べ,さらに,最近示されつつあるがん化や幹細胞の分化への核マトリックス関連タンパク質の関与,核マトリックスを介した遺伝子発現制御におけるmicroRNAのかかわりなど,核マトリックスとゲノムダイナミクスの最近の知見を紹介する。
参考文献
60:1410-1417, 1974
2)奥村克純・他:実験医学 25:739-746,2007
38:8051-8060, 2010
1815:1-12, 2011
23:2625-2638, 2009
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