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文献詳細

雑誌文献

生体の科学62巻5号

2011年10月発行

文献概要

特集 細胞核―構造と機能 4.核小体

Small subunit processome

著者: 牛田千里1 藤原俊伸2

所属機関: 1弘前大学 農学生命科学部 分子生命科学科 2微生物化学研究所 生物活性研究部

ページ範囲:P.418 - P.419

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 Small subunit processome(SSU processome)はリボソーム小サブユニットの形成にたずさわる約2.2 MDa(沈降係数約80S)の巨大な粒子である。この粒子にはrDNAの転写,rRNA前駆体のプロセッシング,18S rRNA前駆体へのリボソームタンパク質の集合,リボソーム小サブユニットの成熟などに関与する因子が含まれている。酵母では少なくとも72種類のタンパク質がSSU processomeから単離されている。個々のタンパク質の機能については多くが未知であるが,そのアミノ酸配列から,RNA結合モチーフを持つもの,protein-protein interaction(PPI)モチーフを持つものなどが同定されている。また,エンドヌクレアーゼやRNAヘリカーゼであることが類推できるもの,ATPaseやGTPase,キナーゼなど,他の機能性タンパク質の活性を制御すると考えられるタンパク質なども含まれている1)。これまでにSSU processomeの六つの部分複合体(subcomplex)が同定されている。それぞれU3 snoRNP,Mpp10 subcomplex,Rcl1/Bms1 subcomplex,t-Utps/UtpA,UtpB,UtpCと名付けられ,構成成分や機能について解析が進められている1)。後者三つの部分複合体の名前にある“Utp”はU three proteinsに由来する。これらはU3 snoRNAおよびそのコアタンパク質と一緒に精製されてきたタンパク質の総称で,t-Utps/UtpA,UtpB,UtpC各々の部分複合体には異なる種類のUtpタンパク質が含まれている。

 U3 snoRNPはU3 snoRNAとNop1/フィブリラリン(fibrillarin),Nop56,Nop58,Snu13/15.5K,Rrp9/U3-55Kからなる複合体である。U3 snoRNAがrRNA前駆体の5'ETSや18S rRNA内部と部分的に塩基対を形成することによって,rRNA前駆体が適切に折りたたまれ,そのプロセッシングが進む。このようにU3 snoRNAのRNAシャペロンとしての分子機能が提唱されており,多岐にわたる解析の結果はそのことを支持している。

参考文献

2:1-21, 2011. DOI:10. 1002/wrna. 57
115:3196-3205, 2010
11:501-508, 2009
16:369-377, 2009
2:507-522, 2011. DOI:10.1002/wrna. 57

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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