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文献詳細

雑誌文献

生体の科学62巻5号

2011年10月発行

文献概要

特集 細胞核―構造と機能 5.染色体

SMC ATPase:コンデンシンとコヒーシンのコアサブユニット

著者: 木下和久1 平野達也1

所属機関: 1理化学研究所 基幹研究所 平野染色体ダイナミクス研究室

ページ範囲:P.446 - P.449

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 SMC(structural maintenance of chromosomes)タンパク質ファミリーはその名前のとおり染色体の構造維持に役割を果たす,進化的に保存されたタンパク質ファミリーである1)。遺伝学的および生化学的アプローチによる先駆的な研究から,真核生物の細胞分裂時におけるM期染色体の凝縮・分配に必須な役割を果たすことが示されていたが,現在ではその役割はM期にとどまらず,細胞周期を通じて幅広くゲノムの構造と機能に重要であることが明らかになってきている。また,SMCタンパク質は真核生物のみならず大腸菌や枯草菌などバクテリアにまで及んで保存されており,進化生物学的な観点からみればヒストンよりさらに古い起源を持つということができる。すなわち,SMCタンパク質は核膜を持たない単細胞の原核生物から多細胞の動物や植物を含む高等真核生物に至るまで,ゲノムDNAの維持・継承にかかわってきた最も基本的な染色体タンパク質の一つである。したがって,SMCタンパク質ファミリーの機能を解析することは,染色体とクロマチンの構造と機能の最も根幹をなす分子メカニズムの理解に直結する。本稿では,特にSMCタンパク質のATPaseの果たす役割に焦点をあて,最近の研究によって得られた知見を含めて概観してみることにしたい。

参考文献

7:311-322, 2006
360:507-514, 2005
136:85-96, 2009
124:685-691, 2011
97:11972-11977, 2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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