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文献詳細

雑誌文献

生体の科学62巻6号

2011年12月発行

文献概要

特集 コピー数変異

乳がんにおけるコピー数変異

著者: 斉藤広子1 三木義男1

所属機関: 1(公益法人)がん研究会 がん研究所 遺伝子診断研究部

ページ範囲:P.556 - P.559

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 乳がんは女性の間では世界的にも最も発生頻度が高いがんで,分子生物学的解析の進歩によりこれまでに乳がんの発生・進展に関与する多くの遺伝子が解明された。乳がんは臨床的経過をみても多様性の大きな病気で,多数の遺伝子からなる複雑な機能調節ネットワークによってその発生・進展が制御されていることは容易に推測される1,2)。また,乳がんを含む複数のヒトがんにおいて,その生物学的特徴を規定する因子の一つとしてゲノムDNAの過剰,欠失,増幅などのコピー数変異(DNA copy number alterations;CNAs)が重要である。comparative genomic hybridization(CGH)法は,全染色体を対象にしてこのような不平衡ゲノム異常のパターンを解析するために広く使われている3-5)。最近の研究ではがん細胞ゲノムの膨大な複雑さを示すために,より分解能の高いアレイベースのCGHを使用し,欠失,逆位やコピー数変異のようなゲノム変異の詳細な検出が進み,さらにその網羅的遺伝子発現解析結果とも併せ,がんの発生・進展における重要な役割の理解が進んできた6,7)

 CGH法では腫瘍および正常組織からのゲノムDNAが,DNA配列プローブを含んでいるマイクロアレイへハブリダイゼーションする。その結果,得られた結合DNAシグナル強度の腫瘍/正常の比率を算出することによって,全がんゲノムにわたるDNAコピー数変異(CNAs)の高解像度分析結果を提供する。現在,市販のCGHアレイと一塩基多型(SNP)アレイ(一塩基多型のみならず,遺伝子コピー数やヘテロ接合性喪失(LOH)の検出が可能)は数十万から数百万ものオリゴヌクレオチドプローブを含み,超高解像度ゲノムプロファイルを生み出す9,10)。このような状況のなか,Kweiらは乳がんのゲノムプロファイリングで,DNAコピー数変異の三つの特徴的なパターンを報告した11)。この知見を中心に,乳がんにおけるDNAコピー数変異を概説する。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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