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文献詳細

雑誌文献

生体の科学62巻6号

2011年12月発行

文献概要

特集 コピー数変異

有棘赤血球舞踏病におけるVPS13A遺伝子のコピー数変異

著者: 富安昭之1 中村雅之1 佐野輝1

所属機関: 1鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 精神機能病学分野

ページ範囲:P.560 - P.564

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 有棘赤血球舞踏病(chorea-acanthocytosis;ChAc)は,口腔周囲や四肢躯幹の舞踏運動を中心とする不随意運動と末梢血有棘赤血球症が成人期に発症するまれな遺伝性神経変性疾患である1)。不随意運動としては主に口腔周囲のジストニア,ジスキネジアが強く,多くの患者で自咬症を認める。神経病理学的には尾状核・被殻および黒質に選択的な神経細胞の変性脱落を認め,MRIでも尾状核頭部に萎縮が強く認められ,このような所見はハンチントン病のものと非常に類似している。その他の臨床症状としては,皮質下認知症や強迫症状などといった精神症状,全般性強直間代発作などのてんかん発作,末梢神経障害,ミオパチーによるCKの上昇などを認めることがあり,なかには拡張型心筋症の合併も報告されている。このように症状は多彩で,発症年齢も大きな個人差がみられている。鑑別診断としては,舞踏運動を呈するハンチントン病,神経症状と有棘赤血球症を呈するMcleod症候群,βリポタンパク欠損症が挙げられるが,それぞれ遺伝子診断や血液型物質Kell抗原の検索,βリポタンパクの測定を行うことにより鑑別は可能である2-5)。ChAcの確定診断には遺伝子診断が必要であるが,点変異以外にも遺伝子内にコピー数変異にCNV(copy number variation)に相当すると考えられる大きなdeletionやduplicationが潜んでいることがわかってきた6)。この稿では,単一遺伝子上のCNV解析の例として,有棘赤血球舞踏病病因遺伝子についてわれわれが行った解析6)について解説する。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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