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文献詳細

雑誌文献

生体の科学63巻1号

2012年02月発行

文献概要

特集 小脳研究の課題(2)

小脳の新しい学習機構:運動学習の記憶痕跡のシナプス間移動による記憶の固定化

著者: 永雄総一1

所属機関: 1理化学研究所 脳科学総合研究センター 運動学習制御研究チーム

ページ範囲:P.34 - P.41

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 日常用いる運動の技の大部分は,訓練を積み重ねることによって脳が学習し記憶したものに由来する。子供のときに何日もかけて訓練し自転車に乗れるようになると,生涯にわたって乗ることができるのがその典型例である。訓練を繰り返すことによって脳に学習が起こり,運動記憶が形成され,それがさらに長期記憶に固定されて使われる。Marr-Albus-Itoの仮説1-3)は,運動記憶のもとになる運動学習の原因が小脳皮質の神経回路のシナプス伝達可塑性であることを示唆するが,眼球反射の適応や瞬膜反射の古典的条件付けを使った実験結果の多くはこれを支持する。さらに,筆者は最近,新たに眼球反射の長期適応のパラダイムを開発し,数時間の学習により小脳皮質に形成された運動記憶の痕跡は,学習を繰り返すと小脳皮質の出力先である前庭(小脳)核の神経細胞に移動し,長期記憶として保持されることを発見した。本稿ではこの記憶痕跡のシナプス間移動について解説する。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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