icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学63巻1号

2012年02月発行

文献概要

解説

日本におけるデュシェンヌ型筋ジストロフィー患者登録システム―国際的な希少疾病データベースモデルとしてのRemudyの取り組み

著者: 木村円1 中村治雅2 林由起子1 西野一三1 川井充3 武田伸一1

所属機関: 1国立精神・神経医療研究センター トランスレーショナルメディカルセンター 2 3国立病院機構 東埼玉病院

ページ範囲:P.62 - P.68

文献購入ページに移動
 筋ジストロフィーを含む多くの遺伝性神経・筋疾患は患者数が非常に少ない,いわゆる希少疾病と呼ばれる疾患である。これらの疾患に対する治療薬は希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ:orphan drug,orphanは孤児を意味する)と呼ばれ,難病などの治療で必要性が高いのにもかかわらず,患者数が少ないため開発が困難とされてきた。しかしながら,近年は遺伝性神経・筋疾患の病態解明が進み,その治療薬開発に向けた研究の進歩は著しく,一部の疾患ではすでに臨床試験/治験(以下,臨床試験)が行われるようになり,より病態に近づいた治療薬が開発される時代が訪れている。

 そのうち最も治療薬開発が進んでいる疾患の一つに,デュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy:DMD)が挙げられる。DMDはX染色体に存在するジストロフィン遺伝子が欠損しているために発症する遺伝性疾患1)である。筋ジストロフィーの中でも頻度が高い病型であり,出生男児約3,500人につき1人の割合で発症し,日本では5,000人前後の患者がいると推測される。運動機能が徐々に低下して,10歳ごろに歩行が困難になり,その後呼吸機能低下や心臓機能低下を来す疾患である。これまで,リハビリテーション,鼻マスクなどによる人工呼吸,心機能低下に対するβ遮断薬やACE阻害薬,ARBによる治療,ステロイド治療などにより運動機能の改善,生命予後の改善が図られてきたが,これらの多くは対症療法的な治療であった。しかしながら,近年はより病態に近づいた治療薬開発が行われるようになっている。

参考文献

25:9-13, 1988
22:532-538, 2009
3)ClinicalTrials.gov Identifier:NCT00159250
357:2677-2686, 2007
5)ClinicalTrials.gov Identifier:NCT01153932
6)ClinicalTrials.gov Identifier:NCT00592553
7)TREAT-NMDホームページ:http://www.treat-nmd.eu/home.php
19:250-254, 2009
55:379-388, 2010
10)Remudyホームページ:http://www.remudy.jp/
87:362-366, 2010
12)中村治雅,宇山佳明:神経治療学 23:607-613,2006
13)GlaxoSmithKlineホームページ:http://www.gskclinicalstudyregister.com/protocol comp list.jsp?compound=GSK2402968

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?