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特集 RNA干渉の実現化に向けて
RNA干渉を利用したウシプリオン遺伝子のノックダウン
著者: 須藤鎮世1
所属機関: 1就実大学 薬学部
ページ範囲:P.90 - P.97
文献購入ページに移動一方,ヒツジを中心にスクレーピーという脳の萎縮を伴う奇病が古くから知られていた。1986年にウシ海綿状脳症(BSE,狂牛病は俗称)が見出された。スクレーピーやBSEは伝達性海綿状脳症(TSE)の一種である。BSEは家畜などの骨や内臓をレンダリング処理して,肉骨粉を飼料として与えたことが原因と考えられた。病原体としてウイルスでも細菌でもない“プリオン”が提唱された(Proteinaceous infectious particleの略Proinより語感のよいPrion)。プリオンタンパク質説2)によると,正常プリオンタンパク質(PrPC)に異常プリオンタンパク質(PrPSc)が触媒的に作用して,PrPCをPrPScに変換する。PrPScは熱やタンパク質分解酵素に安定で,レンダリングしても失活しない。英国は1988年に肉骨粉を反芻動物の飼料とすることを禁止した。
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