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文献詳細

雑誌文献

生体の科学63巻2号

2012年04月発行

文献概要

特集 RNA干渉の実現化に向けて

RNAi法を利用した抗体の評価

著者: 柴田昌宏1 内山安男2

所属機関: 1新潟大学大学院 医歯学総合研究科 肉眼解剖学分野 2順天堂大学大学院 医学研究科 神経生物学・形態学講座

ページ範囲:P.98 - P.103

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 細胞内には数多くの小さなRNA分子が存在し,遺伝子発現や遺伝子産物の発現を抑制している。さらに外来RNA分子に対しても遺伝子発現抑制機構が働き,この機構を利用してRNAウイルスの感染を抑制する。これらの現象は90年代初頭から報告されていたが1,2),1998年に線虫(C. elegans)を用いたFireらの研究によってその機構が明らかとなり,RNA interference(RNA干渉,RNAi)と呼ばれるようになった3)。このようにもともと細胞内に備わった機構を利用して特定の遺伝子発現を抑制し,その機能を解析する手法が確立された。現在では様々な基礎研究に用いられるだけでなく臨床応用研究へと展開しており,近年の生命科学では非常に重要な実験手法となっている。本稿では,生命科学研究では欠かすことのできない実験材料である抗体の評価にRNAiを利用することを提案し,さらにわれわれが作製した抗体を使って得られた成果について紹介する4)

 近年の目覚ましい技術革新により,研究の世界で実験手技における専門性が薄らぎ,幅広い実験法を用いた解析が求められている。そんな中,ある特定のタンパク質の機能を解析するうえで,抗体は必要不可欠な実験材料となっている。抗体を使うことによって,研究対象とするタンパク質を精製することなく解析することが可能となっている。しかし,抗体を使った解析で最も重要な点は抗体の特異性である。たとえば,生化学的な解析ではウェスタンブロット法を用いることが多いが,この場合,分子量という尺度をもって客観的に判断できる。しかし,相同性の高い他のタンパク質や未知のタンパク質を認識している可能性は否めない。

参考文献

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5)柴田昌宏,内山安男:RNAiについての基礎と応用,細胞組織化学2007,pp141-148,日本組織細胞化学会,2007
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97(5):1431-1446, 2006
18(23):9733-9750, 1998
2(3):200-208, 2006
382(2):419-423, 2009
393(2):274-279, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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