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特集 RNA干渉の実現化に向けて
多機能性エンベロープ型ナノ構造体によるsiRNAデリバリー
著者: 櫻井遊1 畠山浩人1 秋田英万1 原島秀吉1
所属機関: 1北海道大学大学院 薬学研究院 医療薬学分野 薬剤分子設計学研究室
ページ範囲:P.113 - P.119
文献購入ページに移動siRNAは水溶性の高分子であるため,そのままではその機能する場である細胞質へと細胞膜を透過して集積することはない。また,全身投与による治療を考えると,siRNAは体液中に豊富に存在するRNA分解酵素に非常に感受性が高いこと,加えて腎臓において糸球体濾過を受けることから,そのままの形では速やかに血中から消失してしまうことが問題となる。これらのsiRNAの欠点を補うために,siRNA自体に分解を防ぐための化学修飾を施す試み4),siRNAに直接コレステロールなどの機能素子を結合させることでsiRNAのバイオアベイラビリティを上げる手法5),さらにはsiRNAと複合体を形成するカチオン性ポリマーやリポソームを利用することで細胞内の取り込みを上昇させる試みなど数多くの研究が行われてきた6)。このように多数の試みがなされたにもかかわらず,いまだsiRNA医薬が上市に至った例はない。その理由として,siRNAが血中に投与されてから機能を発揮するまでには,上記に挙げたような体内動態・細胞内動態にかかわる幾重ものバリアのそれぞれを段階的に克服しなければならないという複雑性が挙げられる。しかしながら,これまでの多くのsiRNAキャリアはカチオン性のポリマーやリポソームなどとの単純な混合によって調製されたものであり,それぞれの機能素子が必要なタイミングに機能するように配置することが困難であった。
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