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文献詳細

雑誌文献

生体の科学63巻2号

2012年04月発行

特集 RNA干渉の実現化に向けて

RNA干渉と肝疾患の治療

著者: 梶野一徳1 樋野興夫1

所属機関: 1順天堂大学 医学部 病理・腫瘍学講座

ページ範囲:P.129 - P.132

文献概要

肝癌研究とmiR-122

 今日,肝疾患との関連が強く認められているmiR-122の前駆体RNAは,肝癌研究の歴史のなかで偶然発見された。B型肝炎ウイルス(HBV)とウッドチャック肝炎ウイルス(WHV)は類似のゲノム構造を持ち,宿主肝に持続性感染を起こして肝細胞癌を発生させる。しかし,両ウイルスゲノムの宿主染色体への組み込みパターンは異なっている。ヒト肝癌におけるHBV DNAの組み込み部位は(少数の報告例を除き)ランダムで,宿主遺伝子の再構成にも一定の傾向を示さない。しかし,ウッドチャック肝癌においてWHVは高率にN-mycやc-myc遺伝子内あるいは近傍に組み込まれ,myc遺伝子の再構成を起こしている1)。1989年,パスツール研究所のグループはウッドチャック肝癌の1例から,c-myc遺伝子と融合しc-mycの発現レベルを50倍以上高める新規の細胞遺伝子hcrを単離・同定した2)。しかし彼らを困惑させたことに,hcrの転写産物は4.7kbと比較的長いにもかかわらず蛋白質をコードするフレームを含んでいなかった。そのため,当時はその転写産物の機能は理解されなかった。2002年,Tuschlらは肝臓で発現している新規miRNAとしてmiR-122を報告し3),それにより既報のhcr転写産物がmiR-122の一次前駆体であったことが明らかとなった。miR-122は肝臓に特異的かつ多量に発現しており4),後述するように,肝疾患と関連するmiRNAとして最も注目されているものの一つである。

参考文献

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50:1322-1323, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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