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特集 質感脳情報学への展望
触覚によるテクスチャ知覚
著者: 吉岡隆1
所属機関: 1生理学研究所 感覚認知情報研究部門
ページ範囲:P.263 - P.275
文献購入ページに移動 われわれの外部世界の知覚は感覚受容器から始まり,画像,音,物体表面や形状などの情報は感覚シグナルに変換されて,最終的に脳に伝えられる。体性感覚の触覚システムでは,物体のテクスチャ・形状の情報は,手の機械受容器や筋肉,腱,靭帯の固有感覚受容器によって最初に処理される。この総説では,触覚テクスチャの知覚に着目し,粗さなどのテクスチャ次元のベースにある神経メカニズムについて論じる。まず,それぞれの種類の機械受容器がどのように表面や物体の別々の側面を処理しているかについて述べる。その後,末梢から中枢神経系にテクスチャの情報を伝える神経経路について探る。
これまで研究されてきた多くの表面質感のなかでも,粗さは最もよく取り上げられるテクスチャ質感の一つである1-6)。本総説では粗さ,すなわち粗い―滑らかの軸だけでなく他のテクスチャ次元,例えば柔らかい―硬い,すべりやすい―ねばねばした,などテクスチャ知覚の多次元的な側面についても述べる7,8)。また,神経系が環境の変化に依存せず粗さ知覚の恒常性を維持する仕組みについても論じる。最近の研究により,手の動きからの固有感覚入力により修飾されることで粗さの恒常性を維持していることが示されている9)。
これまで研究されてきた多くの表面質感のなかでも,粗さは最もよく取り上げられるテクスチャ質感の一つである1-6)。本総説では粗さ,すなわち粗い―滑らかの軸だけでなく他のテクスチャ次元,例えば柔らかい―硬い,すべりやすい―ねばねばした,などテクスチャ知覚の多次元的な側面についても述べる7,8)。また,神経系が環境の変化に依存せず粗さ知覚の恒常性を維持する仕組みについても論じる。最近の研究により,手の動きからの固有感覚入力により修飾されることで粗さの恒常性を維持していることが示されている9)。
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