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文献詳細

雑誌文献

生体の科学63巻4号

2012年08月発行

特集 質感脳情報学への展望

視覚質感にかかわる特徴抽出

著者: 大澤五住1 田中宏喜2 佐々木耕太1

所属機関: 1大阪大学大学院 生命機能研究科 脳神経工学講座 2大阪大学 臨床医工学融合研究教育センター(MEIセンター)

ページ範囲:P.276 - P.283

文献概要

 本稿では,これまでの多くの教科書に掲載されてきた解説とは異なった形で,初期視覚野の機能について述べる。最近の理解と考え方は初期視覚野の研究に携わる者にとってはかなり長い間の標準であるにもかかわらず,多くの神経科学研究者一般には最新の情報が行き届いていないように見受けられる。かつては,V1細胞は線やエッジ(明暗の境界)が受容野に入ると反応する「線の検出器」や「エッジ検出器」として機能しているのではないかと多くの研究者が考えていた。V1細胞が反応する線やエッジなどの刺激の形をそのまま役割としただけであろう。しかし現在では,この考えは厳密には正しくなかったとされている。最近の理解では,V1細胞の集団は網膜に投影された画像情報をできるだけ損なわない形で保ち,かつ同時に高次の視覚野での処理に適した形に変換しているとする考え方が一般的に受け入れられている。この理解を踏まえて,質感,特にテクスチャーの処理に関する神経機構と特徴抽出メカニズムに関して,最近の当研究室における成果を中心に解説する。

参考文献

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101:1444-1462, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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