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文献詳細

雑誌文献

生体の科学63巻4号

2012年08月発行

文献概要

連載講座 老化を考える・12

認知症者を支援するということ

著者: 本間昭1

所属機関: 1認知症介護研究・研修東京センター

ページ範囲:P.325 - P.331

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 2005年を基準にすると,30年後の2035年には認知症者数はほぼ2.2倍の450万人に増加する1)。高血圧などの疾患に比べれば10分の1以下であるが,自ら医療機関を訪れることが極めて少ないという疾患の特徴を考えれば,その深刻さは明らかであろう。この点に認知症医療とケアの現状が端的に示されている。介護保険導入後の10年を踏まえ,以下具体的に現状と課題を示すが,認知症医療とケアを考えるうえで押さえておかなければならない点が上記の点以外に二つある。一つは高齢者世帯のなかで高齢者夫婦のみ,あるいは高齢者単独の世帯が増加する点である。認知症の場合,先に述べた特徴のために早期発見が困難になる可能性がある。二点目は首都圏をはじめとして都市部で高齢化が急速に進む点である。認知症地域ケアについても,少なくない数の取組みが試みられているが,多くはいわゆる郡部での試みであり,都市部を念頭においたモデルや仕掛けが今後考えられなければならない。図1は現在,厚生労働省が進めている認知症者の地域支援体制のイメージを示しているが,地域と医療と介護の足並みをどのように進めていくことができるかということになる。

参考文献

1)粟田主一・他:総合病院型認知症疾患センターに求められている機能について,平成19年度厚生労働科学研究費補助金「精神科救急医療,特に身体疾患や認知症疾患合併症例の対応に関する研究」分担報告書,pp135-156,2008年3月
2)品川俊一郎,中山和彦:認知症患者の早期受診・介入の障害となる要因に関する検討:一般市民・かかりつけ医・介護支援専門員のアンケート調査より,老年精神医学雑誌18:1224-1233,2007
3)本間昭:認知症高齢者の医療同意をめぐる成年後見制度の課題:医師を対象とした全国アンケート調査結果,新井誠(編),成年後見と医療行為,pp19-31,日本評論社,2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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