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実験講座
遺伝子工学を用いた大脳皮質のニューロンネットワークの解明
著者: 金子武嗣1
所属機関: 1京都大学大学院 医学研究科 高次脳形態学
ページ範囲:P.332 - P.338
文献購入ページに移動 ヒトの脳の機能のなかで最も重要な部分が大脳皮質に宿っていると考えられている。大脳皮質がヒトで最も発達しているという事実と,臨床的に大脳皮質のいろいろな部位が障害されると部位に応じた様々な神経・精神症状が生じる事実から,ほとんどの脳科学研究者は大脳皮質の重要性を否定しないであろう。さて,この大脳皮質は認知・感情・記憶・学習・意識などいまだに神秘的にさえ見えてしまう機能を実現している器官であるが,これらの機能を実現するために働いているはずの「原理」は全く未知のまま,21世紀初頭においてもいまだにわれわれの挑戦を待っている。
大脳皮質の機能とその作動原理を明らかにするために,いろいろな方法・手段が考えられるが,われわれは大脳皮質のデザイン・構成を知ることが原理発見に必須であると考えた。実例としては,1970年頃という古い話になるが,小脳皮質の作動原理の「発見」の例がある1,2)。小脳皮質は従来のゴルジ染色法を基本とした所見から大まかなネットワークデザインは解明されていたが,そのネットワークデザインを「教師付き学習」をするフォードフォワード情報処理マシーナリではないかと見抜く研究者が出現して以後,小脳皮質の作動原理の解明が大きく進むことになった。このような事例から,われわれは大脳皮質でも同じようにネットワークデザインを明らかにすることが大脳皮質の作動原理の解明に重要であると考えたわけである。
大脳皮質の機能とその作動原理を明らかにするために,いろいろな方法・手段が考えられるが,われわれは大脳皮質のデザイン・構成を知ることが原理発見に必須であると考えた。実例としては,1970年頃という古い話になるが,小脳皮質の作動原理の「発見」の例がある1,2)。小脳皮質は従来のゴルジ染色法を基本とした所見から大まかなネットワークデザインは解明されていたが,そのネットワークデザインを「教師付き学習」をするフォードフォワード情報処理マシーナリではないかと見抜く研究者が出現して以後,小脳皮質の作動原理の解明が大きく進むことになった。このような事例から,われわれは大脳皮質でも同じようにネットワークデザインを明らかにすることが大脳皮質の作動原理の解明に重要であると考えたわけである。
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