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特集 細胞の分子構造と機能―核以外の細胞小器官 1.リボソーム
リボソームRNAの改変によるリボソーム構築原理の探求
著者: 鈴木勉1
所属機関: 1東京大学大学院 工学系研究科 化学生命工学専攻
ページ範囲:P.354 - P.355
文献購入ページに移動リボソームの構造解析がもたらした最も特筆すべき成果は,リボソームの中心骨格がrRNAによって占められているという事実である。30SサブユニットはmRNAのコドンを精確に解読する役割を担うが,暗号解読中心は16S rRNAの進化的に保存された塩基が構成しており,コドン-アンチコドン対合をrRNAがどのように認識するかの分子メカニズムが解き明かされている。また,50Sサブユニットはペプチド転移反応を触媒するが,その活性中心(peptidyl transferase center)も完全に23S rRNAで構成されていることが判明している。遺伝情報の解読とペプチド転移反応という,リボソームが担う二つの最も根本的な機能が,rRNAによって担われているという事実から,リボソームは構造的かつ機能的にもRNAを中心としたマシナリーであるといえる。
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