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特集 細胞の分子構造と機能―核以外の細胞小器官 3.ゴルジ体
ゴルジ体における有芯小胞の生合成とCAPSタンパク質の役割
著者: 定方哲史1 篠田陽2 古市貞一2
所属機関: 1群馬大学 先端科学研究指導者育成ユニット 2東京理科大学 理工学部 応用生物科学学科
ページ範囲:P.414 - P.415
文献購入ページに移動1992年,145 kDaのタンパク質がCa2+依存的な有芯小胞(DCV)の分泌に重要であることが報告された。後にこのタンパク質の実体としてCAPS1 cDNAがクローニングされ,線虫UNC-31の脊椎動物ホモログであることが明らかになった。2003年にファミリータンパク質としてCAPS2がクローニングされ,その翌年にはCAPS1の働きとして,有芯小胞のpriming stepに関与すると報告された。これがCAPSの働きとしての最初の主張である。しかし,後のCAPS1 KOマウスを用いた報告では,CAPS1がpriming stepに重要であるという主張を否定し,有芯小胞へのカテコラミンのloading stepに働いているという報告が発表された。その後,同グループはCAPSはシナプス小胞のpriming stepに関与すると大幅に主張を変えている。また,CAPS1はゴルジ膜における有芯小胞の生合成に関与するという報告もあり,CAPSタンパク質の働きとしては,有芯小胞の分泌に関与することは明らかなものの,どのステップに関与しているのかについてはいまだ統一的な見解がない。
筆者らは,CAPS2が神経ネットワーク形成に最も重要な分子の一つであるBDNFの分泌に関与すること1)や,CAPS2 KOマウスがBDNFの分泌低下により様々な形態学的・生理学的異常を示すこと2),自閉症患者特異的にエクソン3がスキップしたCAPS2の発現がみられること3)などを報告してきた。
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