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特集 細胞の分子構造と機能―核以外の細胞小器官 3.ゴルジ体
新しい機能を問われ出した小胞体-ゴルジ体中間区画
著者: 菅原太一1 加納ふみ1 村田昌之1
所属機関: 1東京大学大学院 総合文化研究科 生命環境科学系
ページ範囲:P.424 - P.425
文献購入ページに移動ERGICを定義するうえでERGICが動的なオルガネラか,あるいは静的なオルガネラかという大きな議論がある。前者はERGIC自身がERからゴルジ体へ積荷タンパク質を運ぶ輸送小胞であるというモデルであり,後者の場合,ERGICが安定なオルガネラとしてERとゴルジ体間に存在し,ER-ERGICまたはゴルジ体-ERGIC間は別の小胞輸送系で結ばれているというモデルである。前者は,GFP標識した温度感受性水疱性口内炎ウイルス由来のGタンパク質(GFP-VSVG-ts045)を可視化プローブとし,ERからゴルジ体へ向かうダンベル型ERGIC自身が微小管上をstop-and-goという輸送小胞特有の動きで進む動画をもとに提唱された。しかし,ウイルス由来の外来タンパク質(しかも積荷タンパク質)を過剰発現させた結果のアーティファクトではないかという意見が強い。これに対し,ERGIC-53の安定発現細胞株を用いた可視化解析により,細胞質型ERGICが一定の場所に安定して存在するということが示された2)。最近では,後者の静的モデルを支持する研究結果が優勢になっており,静的オルガネラであるERGICにあると推測される特別な機能にますます注目が集まってきている。
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