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特集 細胞の分子構造と機能―核以外の細胞小器官 4.ミトコンドリア
ミトコンドリア膜の機能的新タンパク質類―プロヒビチン
著者: 遠藤仁司1 笠嶋克巳1
所属機関: 1自治医科大学 生化学講座 機能生化学部門
ページ範囲:P.432 - P.433
文献購入ページに移動プロヒビチン(prohibitin;PHB)は酵母から哺乳類まで真核生物に進化的に保存されたタンパク質で,当初,細胞増殖抑制因子として発見された1)。一次構造が近似するPHB1とPHB2のタンパク質が存在し,この二つは複合体を形成してミトコンドリア内膜に局在する。PHBは多機能性タンパク質であり,老化や炎症,肥満,がんなどの病態に関与する。PHB2はPHB1と別の作用も有し,エストロゲンレセプターの転写活性の抑制分子(別名REA:repressor of estrogen receptor activity)や形質細胞におけるB細胞のIgMへの結合分子(別名BAP37)としても知られる。PHBは細胞増殖抑制作用のほかに転写調節,姉妹染色体接合,細胞内シグナル,アポトーシス,ミトコンドリア生合成などの作用も報告されている。PHBの細胞内局在はミトコンドリアのほかに細胞種によって形質膜や核での局在が報告されており,このような細胞内局在がPHBの機能の多様性を生み出している。
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