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特集 細胞の分子構造と機能―核以外の細胞小器官 5.ペルオキシソーム
ペルオキシソーム膜タンパク質
著者: 加藤博章1
所属機関: 1京都大学大学院 薬学研究科 構造生物薬学分野
ページ範囲:P.452 - P.455
文献購入ページに移動 ペルオキシソームは1枚の膜小胞であり,膜の組成は小胞体(ER)とよく似ている。ミトコンドリアのように遺伝子は含まれておらず,カルジオリピンのような特徴的脂質も持っていない1)。ペルオキシソームの機能は,αおよびβ酸化による脂肪酸の代謝,エーテルリン脂質と胆汁酸の生合成,プリン,アミノ酸,ポリアミンなどの分解である。特に,極長鎖脂肪酸(VLFA)を代謝していることが注目される。X連鎖性副腎脳白質ジストロフィーはVLFAの代謝異常と関係するペルオキシソーム病である。また,ペルオキシソームは代謝で生じた活性酸素種(ROS)を消去する必要性から,カタラーゼ反応などが強い。ペルオキシソーム膜は分子量400 Da未満の化合物はよく透過するが,それ以上の大きな化合物は拡散しない。したがって,ペルオキシソーム膜タンパク質(PMP)としては,比較的低分子量の溶質を透過するチャネル,β酸化反応で用いる補酵素などを輸送するトランスポーター,そして,VLFAなどの化学的性質が複雑な化合物を輸送するための特異的なトランスポーターが必要になると考えられる。本稿ではPMPについて概説するとともに,ペルオキシソーム膜の透過性を特徴づけている3種のトランスポーターとして,PMP70(とその仲間ALDPとALDRP),PMP34,そしてPMP22について最近の成果を紹介する。
参考文献
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