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特集 細胞の分子構造と機能―核以外の細胞小器官 5.ペルオキシソーム
GPIアンカーのリモデリングにおけるペルオキシソームの役割とその異常
著者: 神澤範行1 木下タロウ1
所属機関: 1大阪大学 微生物病研究所 免疫不全疾患研究分野
ページ範囲:P.456 - P.459
文献購入ページに移動タンパク質の翻訳後修飾の一つにglycosylphosphatidylinositol(GPI)による修飾があり,GPIはタンパク質を細胞膜につなぎ止める役割をする。哺乳動物細胞においては,およそ150種類のGPIアンカー型タンパク質が知られている。哺乳動物細胞のGPIアンカー型タンパク質の多くはラフトと呼ばれる脂質マイクロドメインに濃縮されており,生体防御や細胞間の情報伝達,例えばT細胞の活性化や
GPIアンカーの脂質部分の構造はその機能にとって重要であると考えられている。例えば,GPIアンカー生合成の初期にイノシトール環に付加されるパルミチン酸はアンカーへのタンパク質の転移直後に通常除去されるが,脱アシル基酵素であるPGAP1を欠損してそのまま除去されないとマウスの形態形成に大きく影響し,耳頭症により多くは胎生致死となる1)。また,PIのSn2位の不飽和脂肪酸はゴルジ体においてステアリン酸に変換され,Sn1,Sn2位ともに飽和型になる(脂肪鎖リモデリング)。この変換はPGAP3によって起こるが,この遺伝子を欠損するとGPIアンカー型タンパク質はラフトに集積しない2)。これらのことから,GPIアンカーの脂質部分がアルキルアシル型であることも,その機能に重要であることが考えられる。しかしながら,GPIアンカーの構造の変化についてはまだ解明されていない部分が多く,そのメカニズムも十分に解明されていない。
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